相続・遺言

登記義務化⁈相続空き家放置は禁物①

政府が所有者不明土地対策の関連法案をこの3月上旬に国会に提出する予定です。

その中で、私たちにも大きく関わってくる内容が3つあります。
本日はその1つ目について。

「土地・建物の相続登記の義務化」です。
現在、登記は任意で申請期限もありません。
あくまでも、自分が所有者であることを、自分の権利保全の手段として登記をしています。

改正案では相続開始から3年以内に登記することを義務付ける内容となっています。
期限内に登記せず、督促にも応じない場合は10万円以下の過料とする内容です。

なぜこのような法案の提出が行われるようになったのか…
現在、九州の面積よりも広い土地が「所有者不明」の状態になっています。
所有者不明となる大きな原因は「相続登記未了」のまま長年ほったらかしにされ、もう誰が相続人なのかわからない状態になってしまっていることです。

そうなる理由の一つに利用価値の乏しい不動産があげられます。利用価値の高い不動産は登記がきちんとされることが多いですが、誰も欲しがらない不動産のためにわざわざ時間とお金を使って登記をするのは面倒だとういう理由です。登記が義務でないのなら、そう思っても仕方がないですよね。

そのため、所有者不明土地が増えすぎて公共事業や都市開発に時間がかかったり、草木が茂ったり、家屋倒壊の危険性など、マイナス面の方が多くなり、政府も対策をせざるを得ない状況となったのです。
実際、「もう、こんな山林いらんのやけど…登記しとかなあかんのかな?」と依頼人から言われることもしばしばです。特に山林は境界もあいまいで、いったい自分がどのあたりの山を持っているのかも不明、その山に行ったこともない、それなのに相続登記をしなければならないのは、なんだか腑に落ちないという感じです。
あとは、子供たちは都会でそれぞれに家を持ち、田舎の両親名義の不動産がそのままにされているパターンでしょうか。登記簿を見てみると田舎の不動産は両親名義のものと祖父母名義の不動産もあることがわかり、相続人が何人いるのか不明のような状況だと、手続きが大変そうで登記を進めることに消極的になりますよね。

結果、相続したら早めに登記しましょうね、という運びになりました。
ただ、利用価値のある不動産でも曾祖父母・祖父母名義のままで、顔もまったく知らない相続人と遺産分割協議をしなければならい状況になることもあります。その場合、スムーズに事が進むことは稀で、時間と労力がかかることが多いです。親がきちんと登記をしてくれていたらこんなに大変にならなかったのに…。

今回の改正案がそのあと押しをすることは間違いないですが、現場からも相続登記が未了なら「早めの相続登記」を、今、不動産をお持ちの方は「遺言書作成」をお勧めいたします。